相模原の殺傷事件について
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私は7月に津久井やまゆり園で起きた殺人事件について、
発生直後から今まで、何かを発信することができませんでした。
情けない話ですが、この事件について、
何かを語れるほどの理解と納得が、
その当時の私の中にはありませんでした。
19人というとても多くの人を計画的に殺害し、
それが社会のためであるという考えで行う。
一人の人間として、この心情に至るまでの何を考えていたのか?
私には意味が分かりませんでした。
凶器の包丁は1本ではなかったと聞きました。
取り替えながら、次々と無抵抗の方を刺し殺す。
どんな想いで、その行為を行っていたのか?
事前に手紙を書いていたと聞きました。
どんな想いで、その文章を書いていたのか?
犯行は計画的なものと聞きました。
どんな想いで、殺害計画を考えたのか?
私は犯人に直接聞くことはできないので、
心情を想像するしかありません。
でも、私には理解ができません。
福祉の仕事に従事する者として、この残忍な犯行に及んだ犯人が、
障害を持った方と同じ時間を共有していたことを考えると、
一人の異常者が行った特殊な事件として整理することが自分にはできませんでした。
想いのない方ができるほど、この仕事は楽でもないし、甘くもありません。
想像ですが、一定の期間勤務していたとのことから、
ある程度は施設で生活されている方から認められる部分があったのではないか?と想像しています。
そこで何かを感じることはなかったのでしょうか?
それとも、犯人を変えてしまうような何かがあったのでしょうか?
また、津久井やまゆり園という歴史的な施設で、
他の施設と比べてかなり高いセキュリティの環境で、
指揮命令系統がしっかりしていた社会福祉法人が運営している施設で、
なぜこのような事件になってしまったのか?
警備員の巡回しているような施設は、市内でも県内でもほとんどありません。
当時の私には、わからないことばかりだったのです。
そして今もまだ謎がたくさん残っています。
独自に情報を集めようと思いましたが、
これだけ大きな事件でも発生からしばらく、
マスコミの報道以外に何も情報がありませんでした。
先日、検証委員会の報告が提出されましたが、
発生の経緯や経過など、明確になった部分と疑問が生じた部分があります。
疑問を解消するために、同じ業界の情報が早そうな方に聞いても、誰もわからない。
横浜の小さな事業所を運営する私と同じ情報しか持っていないのです。
そして事実を抜きにした主観的な言葉が飛び交い、
抽象的な議論だけが展開される。
とても強い違和感を感じていました。
お亡くなりになられた方々のためにも、
何が大きな要因であったのか?
どうすれば防ぐことができたのか?
今すぐに何が出来るのか?
これから先、何をしなければいけないのか?
真剣に考える必要があると思いました。
でも、誰に聞いても『なぜ?』がわからない。
事実がはっきりとしない、とても不思議な事件でした。
今もそれは変わりません。
こんな状況の中で、無責任に発言することで、
事実と異なる風評被害を招いてはいけないと考えました。
これは私個人の考え方ですが、
この事件について何かを語るのであれば、
もっとこの事件について、知らなければいけないと思いました。
そしてその機会を創らなければならないと思っていました。
事件発生から約半年。
ようやく事件の全容を少しずつ整理する機会に恵まれました。
先日、事前の打ち合わせのため、
今回の講師である、
津久井やまゆり園の家族会会長である大月 和真様
にお話を伺いながら、これまで関係者から聞いていた話が、
ガラガラと崩れていくような音が聞こえました。
そうしないように心掛けていたつもりが、
私の勝手なイメージで、この事件を判断していたことが分かりました。
今流れている情報のすべてが正しいとは限りません。
事実だと思っている情報は、本当に信頼できる情報でしょうか?
事実の裏には、判断に至る経緯があります。
一見疑問に思う部分も、なぜその結論に至ったか?ご存知でしょうか?
報道されている内容から、誤ってイメージしてしまっていることがあります。
本当にかながわ共同会さんがすべて悪かったのでしょうか?
配慮が足りなかったのでしょうか?
犯人は本当に凶悪などうしようもない人だったのでしょうか?
何かを考えるためには、
たくさんの情報と、そしてその情報を得るために、
あらゆる立場の方から話を聞く必要があります。
私は支援者なので、まずは何かを語る前に、
当事者やご家族のお話をじっくりと聞きたいと思います。
今回は被害に遭われた方はいわゆる言葉による意思の疎通が難しい方なので、
お話を伺うことが難しい現実があります。
そのため、その心情や想いは想像するしかありません。
心情や想いを想像するためには、繰り返しになりますが、
たくさんの方からお話を伺うしかありません。
私は福祉を創る学校を参加者の一人として聞き、
皆様と一緒に考え、悩み、
自分の意見をまとめてみたいと思います。
皆さん。まずは聞きましょう。
話はそれからです。
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